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2016.03.26 IMAIKE GO NOW 2016

「いい音楽」、「いい街」、「ヘンな人」と出逢ってほしい!と名古屋・今池から昨年2015年に立ち上げたにサーキットイベント・IMAIKE GO NOWが、3/26(土)に第2回目を開催した。
今回は全10か所のライブハウスが会場となり、ラインナップもインディー界を中心として音楽を盛り上げている真っ最中の熱いアーティストが勢ぞろい。最高のぽかぽか天気で、良いサーキットイベント日和となった。

●髭
イベントの幕開けとなる昼過ぎ、ぞろぞろと観客が集まり、IMAIKE GO NOWがいよいよ始まるというワクワクとしたムード漂うBOTTOM LINEにふわりと登場した髭。
ギターをかき鳴らし『ロックンロールと五人の囚人』が始まると揺れる会場と誰よりも飛び跳ねて手をあげて踊る須藤寿(vo.)。
"今夜は僕たちを選んでくれてありがとう!まだ昼!!"と須藤(vo.)が自分でツッコむ姿に笑いが起きたが、まさにいい天気の春先のお昼だということを忘れてしまうような、良い意味で怪しく、のらりくらりとしたセットリストのライブに、ライブハウスは秘密基地のような素敵な魅力を持つのだった。
"IMAIKE GO NOW。ほんとに素敵なバンドがたくさん出てて、いいよね。今日はずっとここで観てるだけでも楽しいんじゃないかな、・・・ちょっと今の毒にも聞こえるかな?"とニヤリと笑う須藤。
所謂髭のライブでは定番の盛り上げソングだった『テキーラ!テキーラ!』は演奏せず、徐々に夢の中のような浮遊感をどんどん増してゆき、サイケデリックでカオティックな、髭ならではのクセになる空気をどんどん濃くしていく。
そんな雰囲気の中では、これまで以上に歌詞が際立って届くのだ。歌声が、頭の中でぐるぐると繰り返されるような、『闇をひとつまみ』からの『ing』がたまらなく気持ち良く、そして胸を打つ。「今は今を生きよう 今は今を信じよう」そんなメッセージが、このイベントにもぴったりで、1発目から「目が覚めないような」余韻をずどーんと残していった。

●Keishi Tanaka
洒落たライブハウスTOKUZOにギターを持って登場したのは、Keishi Tanaka。
入場規制の会場に、チューニングも完了し、"もう準備万端なんだけど、時間が早いから、適当にやってるんで、みんなも適当に楽しんで下さい"とkeishiが爽やかに笑うと、ホーンセクションやキーボードも従えたこの日は、なんともゴージャスに華やかなサウンドが響き渡る。サウンドチェックから思わず手拍子してしまうオーディエンス。そのまま”田中啓史です。どっからが本番かわかんないね"と気持ち良く歌い始める。『Wonderful Seasons』などステージで踊りながら歌う彼。パッと花を咲かせるような、明るくてあったかいぽかぽかした楽曲と、伸びやかで心地よい歌声は、前身バンド・Riddim Saunter時代から変わらない彼の魅力で、ソロになってそれにプラスされたダンサブルで少し「ジャズっぽい」自由な曲の幅と、日本語詞が、よりポップで真っ直ぐに観客を包み込むようになったと感じた。開始2曲でぴょんっとフロアに飛び降りてオーディエンスに囲まれながら一緒になって踊り、歌い、自ら楽しもうとするその意欲やパフォーマンスは、バンドを経験した彼だからこその場面だった。
兎に角足並み軽くるんるんしてしまうんだけども、決して洒落たシンガーソングライターというだけでなく、時間めいっぱいまで沢山の曲を聴かせてインパクトを残すという物凄いやる気、強い強い気持ちが伝わってきて、終盤に披露した『Floatin' Groove』ではさらにキラキラした多幸感が存分に巻き散らかされ、じんわりときてしまった。どうやら彼が春を連れてきたようだった。最高だった。

●never young beach
春が来たと思えば、いち早くトロピカルなムードを鳴らしているのはnever young beachだった。
1曲目からゆるく"いぇ~い!"と届ける安部勇磨(vo.&gu.)だが、音は決してゆるくなく、この日はさらにバンドサウンドが強かったような気がした。最初はぼんやりとしていても、少しずつとろけていくフロアと、楽しくってたまらないといった様子でときたまほくそ笑みながら歌う安部。観ていてこちらも笑ってしまう。
ステージドリンクとして持ってきたホットレモンを"喉にいいんだよ"とご機嫌に紹介し、鈴木健人(Dr.)とGパンを出番直前に交換したことを話し、"それいいねっつって。仲良いっしょ"と本当に嬉しそうな顔をする。その後も最近機材車が広くなったせいで、メンバーとの距離が離れてちょっと淋しいと話したり、水を回し飲みしたり、曲の途中でメンバー同士近づきすぎてコードが絡まってあわや大惨事の勢いでこけそうになったり(笑)安部は本当に大好きな仲間とやれる今がとっても楽しくって仕方がないと言う。その日常の当たり前をネバヤンはぬくもりとして音楽にのせて届けてくれるのだ。最後に披露した新曲『明るい未来』は「夏」「まったり」したネバヤンからは一味違った目映く愛溢れるストレートに気持ちを歌った1曲で、ライブで歌われるとグッと心を掴まれてしまう。どこまでもあったかいステージをやりきって"ばいばい"と去って行った。

●SCOOBIE DO
サウンドチェックで『RIDE ON TIME』をファンキーにのびやかに演奏してすっかりあったまった会場に、登場SEが流れて改めてスーツで登場しキめた今回の出演者ではもうベテランのSCOOBIE DO。
こういう場では、彼らの初見の人を持っていくんだぜっていうパワーがもう漲って滴り落ちてる。しかもこの日の彼らは韓国でのライブ帰りということでなおさらその気概が研ぎ澄まされていた。
ディスコ・チューン『アウェイ』でご機嫌にそしてソウルフルに1曲目から彼らのグルーヴに乗せ、『LIVE CHAMP』でロックンロールに身を沈めて20年以上やってきたその生きざまをどうだ、楽しいだろ?と言わんばかりに見せ付けて会場を引きこんでゆく。”君も君の1番好きなやり方で楽しんでくれ”とコヤマシュウ(Vo.)が語り、会場からは興奮の大きな拍手。そしてナガイケジョー(Ba.)がアップライトベースを手に始めたのは『BUKI』『笑う女』。唸るベースにソリッドなリフが重なりなまめかしく前衛的な1曲でまた違う一面を見せ、汗びっしょりだ。文字通り一番熱かったのではないだろうか!
クライマックスでは『トラウマティック・ガール』で"誰が一番高い!?""ここまで来い!"と飛び跳ねるオーディエンスを煽り自らも飛び跳ねるコヤマにフロアの熱量もより一層拍車をかけ、ラスト『また会いましょう』まで絶対に集まった人を自分たちのスタイルで喜ばせるという確信をもってやりきった4人だった。さすがだ。

●Creepy Nuts
地下の少し危険な雰囲気のライブハウス・3STAR IMAIKEを入場規制にしていたのは、MCバトル日本一のラッパー「R-指定」とターンテーブリストであり、トラックメイカーとして活躍する「DJ 松永」によるヒップホップユニット・Creepy Nuts。
男性が多く詰め寄せる感じがまた他の会場とは一味違い、「サグい」感じですっげぇドキドキした。
そして2人が登場するとそのムードはさらに高まると共に、彼らはいわゆるワルではなく、物凄く平和的な気持ちを持っていることが伝わるステージを繰り広げる。ヌルいと言っているわけではない。全くヌルくなんてないのだが、彼らは「ラッパー」「DJ」でありながら、イケていない奴の負の想いをそのままぶちかますことで、すっと観客に寄り添い、一緒に戦ってくれる、そんな優しさを持ち合わせている。
皮肉にまみれた『みんなちがって、みんないい。』で下らない現実との狭間で自分を守り、"みんな周りにこいつ使えへんなーって奴おるやろ?俺もそうやって言われたし、みんなの中にも自分つかえへんなーって人?おるな、おるよな、でもそういう奴ら、にくめへんやん。俺の周りもそんなやつばっかりやけどやっぱそうやねん。それでもいいやん"と『使えない奴ら』を披露した。これが愛に溢れていて泣きそうになってしまった(個人的にも同い年ということもあり物凄いキました。。)。24歳にして社会から離れてMCバトルで戦って負けてそして復活して勝ってきたR-指定と様々な有名アーティストのバックでやってきた童貞DJ松永の根暗ながら自らの手で自らが認められる居場所を作ってきた強さが、優しく温かいメロディに乗って響くのだった。
終盤はR-指定がフロアの観客から5つほどお題をもらい、即興でそれらを取り入れたフリースタイルを披露し盛り上げた。『合法的トビ方ノススメ 』ではフロア後方までみんなジャンプ!ジャンプ!"これが合法的なトビ方だ!気持ちいいことしよう!"と会場を一体とさせ楽しくして去って行った。既に集まったものの期待を越えていくほど巧いが、まだまだこれから色んなバンドとの対バンやステージを経験して、進化していきそうな気配ビンビンのステージをやりきった。これからまた見る機会が楽しみで仕方がない!


IMAIKE GO NOWは、それぞれに「今」観なければいけない、そんな理由とこだわりが感じられるメンツの熱いイベントだった。本当にメンツが良い。これは毎年そのときどきでどんどんこだわって欲しい!笑
今池という町は、美味しいものもあり、春先の温かい気候にぴったりで、観ていて「今」行け!と、勇気を与えられたのだった。
第3回の開催を早くも待ち望んでしまうよ。

by yonayonagirl | 2016-04-03 23:37 | 音楽


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