ソールドアウトとなった今回の公演。1Fのフロアだけでなく、2Fにも人、人、人…!期待の高さが熱気となって会場を満たしていた。
音楽が消え、登場したのはTHEイナズマ戦隊の上中丈弥(Vo.)。ふわっと笑顔で出てきて、今回のツアー、スクービーのことを話し、楽しそうにマイクコードを揺らし、スキップをしながら去っていく。
その和んだ空気を、一瞬にしてピリッと引き締めたのは、スクービーの圧倒的なオーラだろう。
SEの中FUNKY4が登場し、各々の位置につく。佇まいだけでも気迫が伝わってくる。コヤマシュウ(Vo.)に向けてオカモト“MOBY”タクヤ(Dr.)が軽く頷き、マツキタイジロウ(Gt.)が視線を送ると、コヤマが手を上げる。SEが鳴り止み短くコヤマが“アイッ!”と叫ぶと、パーティーの始まりだ。
挨拶代わりのように繰り出された1曲目『PLUS ONE MORE』“本日もお客じゃなくて、主役ってことでいいよなー!”という呼びかけに“プラスワンモー!”と叫び応えるオーディエンス。会場は5人目の主役で溢れかえる。時折マイクをオーディエンスに向けて歌わせ、“ナイス!”と親指を立てて応えるコヤマ。そして“君が君の一番好きなやり方で踊ってくれ”と締めくくる。いつもオーディエンスを安心させ、踊らせる。その粋な心配りが、私はだいすきだ。
続く『MIGHT SWING』では、“まるで嘘みたいな悲しみがある。嘘みたいな喜びがある。嘘みたいな毎日をただ、生きてるだけで素晴らしいのだろう”という言葉を手を掲げて、噛み締めてしまう。
そして“真夜中のダンスホール”と畳み掛ける。曲中で、コヤマ、マツキ、ナガイケジョー(Ba.)が繰り広げるクイック&ターンでは、待っていましたとノリノリのスクービーファンに対し、少し縦に跳ね様子を伺うイナ戦ファン。しかし2回目のクイック&ターンでは、イナ戦ファンの方々もステップを踏み、場内総動員横揺れ!それを見て嬉しそうに“いいねぇ”とコヤマが笑う。
“ヘイ!エブリバディ!俺たちが結成20周年のSCOOBIE DOです!”
“イナ戦が20周年を祝ってください、って言うもんだから来てみたらまだ18周年だって。図々しい奴らだ。俺らとの出会いは後でボーカルさんが喋ってくれます”と挨拶ついでに会場を湧かせ、その流れから披露されたのは、ダンスナンバー『踊りませんか』。メロウなイントロが流れたかと思いきや、何度も繰り返される“踊りませんか”という歌詞。そしてナガイケのステップに合わせ踊ったり、腰をふったりするコヤマを前にしたら思わず体を揺らさずにはいられない…!
守られているような力強さを帯びる“ミラクルズ”へと続き、ひと時のブレイクを置いて、ぽろぽろとマツキのギターが鳴り始める。それに合わせ一音ずつ噛み締めるようにコヤマが歌いだす“最終列車”。
こんなにも人がいるのに、急に一人になったかのような侘しさと哀愁が襲ってくる。しかし大人数でこの曲を共感して“自分だけではなかった”と思う感情が少し気持ち良く感じられた。さっきまで踊り狂っていた場所とはまた別世界の様だった。スクービーのライブは1回の中に喜怒哀楽全部が詰まっている。
“全ての人が音楽を必要としている訳じゃない。音楽が要らなくてもいいってまま人生を過ごしていく人もいる。でもここに来ているお前らは音楽がないと生きていけない。ライブハウスに来ることを止めちゃいけない。ずっとずっと一緒にやろうな!”というコヤマの言葉に続き、披露されたイキガイ。ポップなベースラインに、コヤマが手拍子を煽る。手を叩きながらも泣けてくる。コヤマは歌いながら、飛び跳ねながら、時にプラスワンモーの頭を撫でながら、伝えてくれる。この空間こそが正しく“イキガイ”だとそんな恥ずかしいことも本気で思えるぐらい、暖かさを感じてしまった。
“ここからはスクービーの大ヒットナンバーを立て続けにいっていいよなー!?準備できた奴はイェーって叫んでくれ!!”という雄叫びに続き始まった“トラウマティックガール”。ゴリゴリの分厚い音のカッコ良さと、妖艶さ。コヤマもシャツを肌けさせ、セクシーに歌う。そして“誰が一番高いか!”とサビではオーディエンスも全員合わせてジャンプ!
盛り上がったところで音が止む。そこにマツキのギターが鳴る。
“うちのリーダーのマツキタイジロウがギターでこう申しています。ロックンロールをやっている我々はもはや人間ではありません。バンドマンという生き物です。イナ戦ももはや人間ではないでしょう。ロックンロールで人間やめないかー!!!!!”というコヤマの叫びと共に、爆発を迎える会場!!!
“お前も人間じゃない!”“お前も!”と激しく煽るコヤマにジャンプと叫びで応えるオーディエンス。
大熱狂の渦の中続く“Back on”マツキがギターを歯でかき鳴らし、ナガイケが激しくベースをスラップし、MOBYがドラムを激しく打ち鳴らす…!
コヤマは身を乗り出し、半ばダイブ状態でファンと手拍子をする。最高潮の盛り上がりを迎えたところで“2015年の大ヒットナンバー!”と 『新しい夜明け』が始まる。
ナガイケ、マツキと肩を組み歌い上げ、そしてファンの手を握り“君となら何度でも生きていける”と歌い上げるコヤマ。最後はオーディエンスも巻き込み全員で手を振り“ラララー”と熱唱。まるで何かのエンディングかの様に、燃え尽きた感覚になった。
でも燃えつかず、これからもずっとスクービーがいてくれる事が嬉しい。“モヤモヤをキラキラに変えてやる!”コヤマが放ったこの言葉の通り、会場全体が多幸感に包まれたライブだった。
01.PLUS ONE MORE
02.MIGTY SWING
03.真夜中のダンスホール
04.踊りませんか
05.ミラクルズ
06.最終列車
07.イキガイ
08.トラウマティックガール
09.Back On
10.新しい夜明け
続いて登場した、本日主催のTHEイナズマ戦隊。
1曲目『GLORY DAYS』からブッ飛ばし、早くも拳を振り上げてヒートアップするオーディエンス。お立ち台にたち、会場全体を見回し、笑顔で歌う上中丈弥(Vo.)。思わずノってしまうポップな曲調に、感じる男臭さ…。私は初めてイナ戦のライブに行ったが早くも釘付けになり、“握り拳を空に掲げて”という歌詞に合わせて、必死に拳を突き上げた。
そのままの勢いで『ズッコケ男道』を披露。関ジャニ∞への提供曲として多くの人に馴染みがある曲だ。イナ戦とはこんなバンドです。さぁノってこい!!と言われているような気分だ。応えるかのように、サビの掛け声がばっちし揃うオーディエンス。早くも全体を巻き込みお祭り状態を迎える。
“スクービー先輩ありがとうございました!”と舞台袖を向いて頭を下げる4人。
“そしてスクービーファンの方々初めまして。ところで今日始まる前さ。ジョーさんがベース弾いていて、指が綺麗だなぁ…と思った。抱かれたいと思った…。それに比べ、俊哉の指!芋虫やん!”と上中が話し、笑いを誘う。
それに中田俊哉(Ba.)が反応しようとすると“ちょっと待って!反応がバンドマンっぽくない!(笑)俺ら幼馴染やけど未だにラインとかするんです。ラインやったらこいつボケて来てさ~”とさらに始まる上中の話。まるで近所の兄ちゃんの世間話を聞いているような緩さ。(笑)
“でもその芋虫が鳴らすリズムが、俺を熱くさせるんだぜ…!”と最後は世間話をかっこよく締めくくった。(笑)
続く『ジャパニーズドリーム』でも、その勢いは止まらず、皆が手をふり“ハイハイっ!”と声が上がる。『NATURAL MONSTER』『時代』と畳み掛けていく。先程まで感じていた男臭さにプラスして、愛を唄う『時代』は特にニクかった…!ひたすら突っ走っていた男が、傍に戻ってきて寄り添ってくれるような感じであった。聴き惚れてしまう。
“スクービーとの出会いを話します。”と上中から語られ始めたエピソード。
“俺、怒髪天の益子さんと最寄駅が一緒で、会うと片膝ついて挨拶するねん。一回ラッシュ時にして止めろて怒られてんけど。スクービーは年齢3,4つ上で、片膝つくほどじゃないかなぁ…と思っている。(笑)”
“スクービー好きすぎて。初めてであった時に、どうしようもなく好きすぎて無視をした。(笑)MOBYさんとはその後、スペ中で再度一緒になったが関係性をリセットしてきて、初めましてのノリで来たから、また怯んでしまって。それからまた4年後ぐらいに一緒になった時、楽屋も一緒で4VS4みたいな構図やった。すると楽器隊が楽器弾こ~て、居なくなって俺一人になってん。(笑)
ここはもう行くしかないっと飛び込んだら、…抱きしめてくれた。あの人たち最高にいい人たち。”
“スクービーファンの皆様、普段はイナ戦ってこんなに話さないんですけどね。(笑) もう俺らもスクービーも顔だけでは勝負出来なくなってきてね…(笑)”おいっ嘘や!とオーディエンスから、テンポ良くツッコミが入る。
“なんでスクービーとの対バンを神戸でしたか、分かるか!?神戸が好きやからやー!!”と会場を湧かし、怒涛の後半戦へ。
タイトルを思わず叫んでしまう『生命パワー』、『オマエ・がむしゃら・はい・ジャンプ』へと続く。40代から30、20、10代と全年代の背中を押すこの歌。山田武郎(Gt.)と中田もお立ち台に立ち、ギターとベースをかき鳴らす。上中ががむしゃらにいけ!と熱く訴え、最後は全員でジャンプをして締めくくる。最高だ。
会場全体の空気をイナ戦が掌握した。それ程の盛り上がりを迎える中、ギターの音を背景に上中がゆっくりと語りだした。
“親好きか?俺の親父は33歳で亡くなって。親父は音楽が好きで、親父がやっている喫茶店にはミュージシャンがよく集まっていてさ。俺、親父のギターで唄いたい。でももう出来へん。ほんまいつの間にか死ぬで。だから遺るようにこの曲を作った。もし親に感謝を伝えられてないと思うなら一緒に歌って欲しい。”
この言葉から始まった『33歳』。お父さんへの尊敬や憧れ、思い出が詰まった歌にあちらこちらで泣き声が聴こえた。皆でコーラスを歌っている間に“そのまま歌い続けてー!その間にそっち行くからー!”と上中が2階席へと移動しフェンスから身を乗り出して歌う。伝わってくる想いが強い。泣けた。そんな中“ここから俺落ちて、ピーポーて運ばれたら洒落ならんよな。(笑)よかった!落ちんで!”とおどけてみせる上中。しんみりさせたままにしない、その心遣いがなんとも素敵だった。
“今日土曜やな。まだ日曜あるからいけるな。月曜な!ちょっとしんどいよな。しんどくなったらまたここに来て。俺ら毎週ライブやってる。全国各地でライブやってる。沢山いろんな所行ってる。だから君もたまには会いに来てくれ!”と語り始まった『応援歌』
“俺オマエの事はずっと前から見て来たから”“オイ、オマエ頑張れや 俺が傍で見ていてやるから”という歌詞が沁みた。辛くてもまたここに来ればいいやと思える安心感が嬉しかった。格好よさ、涙、情熱。並べてしまうと陳腐に見えてしまうような言葉だけど、まさしくその本物全部が詰め込まれたようなライブだった。
“俺たちも20周年を祝いたい、野音でしたい、武道館だってしたい。お前たちが俺を連れてってくれ!”と上中が叫んだ。一方的ではなく、ファンと相互的なスタンスのイナ戦。そりゃついて行きたくなるし、引っ張っていきたくもなると思った。つくづく格好良いバンドだ。
アンコールに応えて登場したイナ戦。そこにスペシャルでスクービーのコヤマも加わる。
突如“11月12日、誕生日おめでとうございましたぁ~」と上中の誕生日を祝うコヤマ。(笑)
上中“いや、まだ過ぎてないから!”
コヤマ“プレゼントに俺のハープをあげよう~”
上中“うわいいんですか!!めちゃくちゃ嬉しい”
コヤマ“Aのハープ使う曲ある?”
上中“ないです”
コヤマ“これを気にハープ使う曲作ってくれ”
終始上中に対し、穏やかにふわっと答えるコヤマ。
上中“ライブ中と全然違うやん(笑)”
スペシャルコラボレーションで披露された、アンコール『無責任ヒーロー』
コヤマが歌詞を間違え笑ってごまかしたり、上中が歌うパートで客席にマイクを向けたり。(笑)最後にはコヤマがTシャツを脱いだかと思うと、『フラカン武道館Tシャツ』が中に仕込まれており、お立ち台にたち、フラカン武道館をアピール!自由に楽しんで去っていった。(笑)
“俺が歌うところで、お客さんに歌わせて!あの人頭おかしいでしょ!”と上中が叫び締めくくった。
背中を押してくれる、元気が出る、拠り所になる。イナ戦とスクービーは双方ともそんなバンドだと思う。伝え方は少し違えど、伝えたいことは同じだと感じた。先輩だからと一歩も引かず食っていしまう勢いでライブをしたスクービー。スクービーを立てつつ、自分達のカラーで熱狂を作りだしたイナ戦。これからもこのバンドがいれば生きていけると本気で思ってしまう、最高に熱い対バンだった。
これからも観に行き続けるから、これからも宜しく頼みます!ずっと続けてくれ!こんな気持ちでいっぱいだ。
01.GLORY DAYS
02.ズッコケ男道
03.ジャパニーズドリーム
04.NATURAL MONSTER
05.時代
06.OLD ROOKIES
07.生命パワー
08.オマエ・がむしゃら・はい・ジャンプ
09.33歳
10.応援歌
~ENCORE~
無責任ヒーロー(w/コヤマシュウ)