人気ブログランキング | 話題のタグを見る

2015.10.25.ボロフェスタ@KBSホール

◆清竜人25

6人のなんとも可愛い女子が歌って踊るキュートなステージが始まり、ボロフェスタのジャンルレスな部分がどんどん露わに・・・と思ったらそのアイドル空間に登場したスーツに髭のしゃがれ声の男―その男は、清竜人!

シンガーソングライター清竜人がなんとこの美女6人の中心に立ち、彼女たちはすべて清の「夫人」という、概念をぶっ壊した一夫多妻制アイドルグループが清竜人25だ。

第一夫人から第六夫人までの彼女たちが清の頬をつついで笑顔でスキップしていったり、彼女達と見つめ合いながら清が歌ったり、ディスコミュージックな1曲目『ラブボクシング』からやりたい放題である。

そして続く電子音と女の子のハイトーンボイスがたまらなくキュートで元気いっぱいの『ABCじゃグッと来ない!!』。まるでおもちゃ箱のようにおてんばでワクワクする1曲に、呆気にとられ、なんだ?どういう気持ちで観れば良いんだ?と戸惑っていた気持ちが徐々に楽しくなってきてしまう。そう感じてしまってはもう最後だった・・・無茶苦茶なこの世界観を見ていたい、清に可愛がられて至福のように喜んでいる夫人が、他の娘が構われて悔しげな顔をする夫人が、一生懸命に清のために歌って踊る夫人が、いじらしく愛おしく思えてくる・・・そして彼女たちをこんなにも生き生きさせられる清の凄さにカリスマ性を感じていた・・・。

終盤に披露された『Mr.PLAY BOY…』はもう完全に清竜人25にしかできないエンターテインメントだ。夫人が”YO!YO!スケベ!スケベ!前代未聞のスケベ!スケベ!と叫び、観客も一緒に清に向かってスケベ!の連呼。それに合わせてノッていく清とゴージャスな音楽。正気じゃない。ラストの1曲『Willyoumarryme?』では、清も夫人の髪を撫でたり、お姫様抱っこしたり、唇を近づけたり、ヒートアップするパフォーマンス。ダンサブルで洒落ていて、なのに泣きそうになるほどのピュアな可愛らしさで溢れていて、最高に笑えて、最高に・・・なんだか幸せな気分だ・・・!

世界を変えてやるぜそんな清の歌が聞こえた。恋愛禁止が基本のアイドルの世界でハーレムを見せ付ける革命的なこのアイドルグループがどこまで突っ走るのか、観る価値十分だ。


01.ラブ♡ボクシング

02.ABCじゃグッと来ない!!

03.ハードボイルドに愛してやるぜ♡

04.Call♡me♡baby

05.プリーズ・・・マイ・・・ダ~リン♡

06.Mr.PLAY BOY...♡

07.Will♡you♡marry♡me?



◆ONIGAWARA

Bee-lowステージ=ロビーの、パステルカラーのメルヘンなユニコーンと、ふわふわのピンクのカーペットで装飾されたステージに登場したのは、今巷で話題のスーパーJ-POPユニット・ONIGAWARA

色違いのキャップに蝶ネクタイをあしらった制服風の衣装に身を包んだ2人がマイクスタンドの前に立つと、キラッキラのキャッチ―なメロディが流れ、それに合わせて2人はなんとも可愛く可笑しいダンスを全力で踊る!

ペンライトでケチャするなど、「過度な応援行為」「ガチ恋」が推奨されている彼らの繰り広げるライブ空間はまるでアイドル。竹内サティフォの甘ったるい声と、斉藤伸也の目の離せない動きと、そしてなんといっても耳触りがよく、一発で頭にこびりつく彼らのポップミュージックが、どんどん人を呼び、震えるほど寒い外と繋がっているはずのロビーがロビーとは呼べないレベルに観客でパンパン。熱い・・・!

そんな熱気を感じてとても嬉しそうにニコニコでノッてくるONIGAWARA。最新曲『エビバディOK?』でサティフォがウインクを飛ばし歓声が上がる。

そこで一転しHIP HOP調の『ONIGAWARASUPER STAR』が始まると、彼らは可愛い楽しいだけではないことを思い知らされる。先ほどアイドルと表現したことを訂正したい。世間に牙をむくサティフォのバース。マジで大真面目に2人はアイドルよりもバンドよりも1番になろうとしている。竹内電気の中のユニットではなく、竹内サティフォと斉藤伸也の2人組として真っ直ぐな音楽で本気で勝負を仕掛けてきていて、それがハマっていること。汗を滴り落としながら歌い踊る姿に胸を打たれてしまった。

斉藤がマイクを握り何かを言おうとしたが言葉に詰まり言えず、笑いが起きたが、オーディエンス・「ガワラー」への感謝が十分伝わるシーンだった。

Eじゃん』ではサティフォのギターリフが光り、ステージ際まで飛び出てギターを奏で、斉藤も観客とアイコンタクトを取りながらコール&レスポンスで盛り上げる。最後はセンターで寄り添ってポーズをバッチリときめ、大歓声に包まれた。

「出会い」を目的の一つとしたこのフェスで、「アイドル」「バンド」どちらにも属さないONIGAWARAのこのユーモラスな存在と、ロビーであることを忘れるほどの現場の盛り上がりっぷりは、初めて目撃した人にとっても笑激的な出会いとなったに違いない。


◆フラワーカンパニーズ

最新ミニアルバム収録の『消えぞこない』を踊りながら歌い、シンプルなバンドサウンドを鳴らし、メインステージを沸かせたのはフラワーカンパニーズだ。

陽の目を浴びずに生きてきた自身のことを描いた自虐的でひねくれた歌詞を、こんなにも開き直って明るく轟かせられてはもう笑顔になってしまう。

そしてそのままRCサクセションのカバー『すべてはALRIGHT(YA BABY)』で陽気に、泥臭く不器用に生きる者の背中を叩く。

しかし温かいこのムードをぶっ飛ばしたのは次の1曲『ロックンロール』だった。メンバーチェンジなし、ヒット曲なし、活動を一度も止めることなく、まだバカやってるよ。そんなフラワーカンパニーズがもうすぐ、あの武道館でワンマンを行う事実を重ねずにはいられなかった(これ武道館でやられたら号泣するだろな)。『消えぞこない』もそうだが、やめるタイミングを失ったから当たり前のようにやってるだけなんだというそういった彼らのスタンスと、でも決してドライではない、全く諦めてはいない少年のままのフラワーカンパニーズの青い魂が、ジワリと胸を熱くさせるのだ。

そして、そのまま会場は徐々に暗くなり、あのギターのイントロが鳴らされ、言葉にならないざわめきが起きる会場。真っ暗になっていく中、バックから白い光がメンバーを浮かび上がらせる―『深夜高速』。

決して絶好調ではないように聞こえた鈴木圭介(Vo.)のかすれた声でも、ハッキリとダイレクトに心に突き刺さるように力強く、ヒリヒリと歌い上げる。竹安堅一(Gt.)のギターソロもキレッキレで、気が付けば手をあげることも拍手をすることも忘れ、突っ立ったまま頬を涙がつたっていた。わかりきっていることだが言わずにはいられない。この曲は凄まじい。

そして思わず笑顔になる『チェスト』、またモヤモヤした圭介が爆発する『はぐれ者賛歌』と連続し、ラスト『真冬の盆踊り』が始まると、好き勝手踊るフロアの盛り上がりを感じて我慢しきれなくなった隣のステージから、次の出番だったNATURE DANGER GANGがぞろぞろと出てきてヨサホイするもんだから、フラカンメンバーもそのド派手な装いに「なんだあいつら!!」みたいに気になっちゃって圭介がうん、なんか、名前も知らないけど、ありがとうってよそ行きの挨拶する始末に笑いが起きていた。けどフラカンを一緒に楽しみたくってうずうずして我慢できなかったっていうのが伝わるくらいはしゃいでたから、もう観客も演者も垣根がないままみんなもっと笑顔になってずっとずっと踊り続けてヨサホイ叫び続けて、すっかりフラカンにしかできない空間にして余韻だけを残して去って行った。

メンバーが去った後、フラワーカンパニーズの応援歌(c怒髪天)が流れ、それに合わせて指揮をとる圭介に大きな声援が贈られた。武道館でもバカみたいにやってくれよ!


01.消えぞこない

02.すべてはALRIGHT (YA BABY)

03.ロックンロール

04.深夜高速

05.チェスト

06.はぐれ者賛歌

07.真冬の盆踊り



◆Eastern youth

アンダーグラウンド・ステージ。

その名の通り地下深く深く階段を下りていくと現れる小さな会議室のような一室は、開演前から既に溢れる人、人。

eastern youthの登場は10日前に突然発表されたにもかかわらず入場規制がかかり、物凄い熱気と湿気でムンムンと、完全に身体によくない空気で充満していた。私が今まで味わったライブで一番のサウナ状態であった。

サウンドチェックのためにステージに3人が登場し、吉野寿(Vo.&Gt.)は観客と会話を交わしながら、笑わせる。

待ってましたと言わんばかりの嬉しそうなオーディエンスだが、同時に緊張も伝わった。

なぜならeastern youth、ベーシストに村岡ゆかが加わって2度目のステージとなり、こんなにも小さな会場ですることなど今や滅多にないからである。


面白ぇことはいつも地下から始まる

そう言って吉野がニヤリと笑い、『街の底』から始まった。

いきなり吉野が言葉を吐き散らすようなスタイルの1曲で、惹きこんでゆく。

「戦いは続いていく」と、もう叫んでいるという表現では間に合わない。吠える吉野。

そして感情を掻き立てるような激しいギター、疾走感溢れるドラム、骨太のベース。

たった3人で、ドデカイ歌をやって、我武者羅に、鳴らしている。

これが2015年のeastern youthの曲だと・・・。

さっきまで冴えないただのオッサンだったのに、なんだこのオッサン・・・!

正直ベテランだと思っていた。でもベテランじゃない、最高の意味で、だ。

走り続けている。そう確かに感じた。


始まる前から高音だった室内の温度は、さらにグングンと上昇する。動かずとも、汗が滴り落ちる。

気持ち悪い奴とかいねぇか?いや俺の顔が気持ち悪いとかそういうのは受け付けませんとフロアやメンバーを笑わせる。

しかし何度も観客を気遣いつつ、勿論その熱さを緩ますことはしなかった。


ジャカジャカとギターを弾きながら、『扉』を歌い始めた吉野。壁は青く塗られ、ぐにゃぐにゃの時計が幾つもぐにゃぐにゃの時間をさしている絵が描かれたこの会場で、「時計を止めてくれ」と大声で歌う。

続いて演奏した『いずこへ』も圧倒されるほどの音圧で。

新旧入り混じったセットリストで、25年以上もやってきたeastern youthが、どの出演バンドよりも強い圧と熱量で、たった3人の楽器だけを武器に、ぶつけてきていることに、それを今ここで目の当たりにしていることに、ただただ放心状態だった。


“絶望の虜になることはよくあるけども、俺はまだまだ世界は素晴らしいと思ってるよ

と言って始めた『素晴らしい世界』。

気付いたら涙が流れていた。彼らの音楽は、攻撃的なのかもしれない、だけど、優しい。

やれ!と命令するような強さではなく、観る者の内側から、やらなきゃ、と思わせるような、一緒に戦ってくれるような、そんなライブで、絶唱する吉野はもはや獣のように獰猛で、もう先のことなど絶対考えてないだろってくらい全力で、うまく言葉にならないのだが、とてつもない、とてつもなかったのだ。


おしまい。そう軽く言って彼らのステージは終わった。

我々の胸の内側に物凄い熱さを宿して。

地下の密室でえげつない体験をした者たちは、勇ましい顔で、唸るように、噛み締めるように、拍手と歓声をおくり続けた。


01.街の底

02.鳴らせよ鳴らせ

03.沸点36℃

04.扉

05.いずこへ

06.たとえば僕が死んだら

07.素晴らしい世界


by yonayonagirl | 2015-11-10 23:00 | 音楽


<< 2015.11.07 NEO... 2015.10.5 SCOOB... >>